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桃太郎伝説よりおもしろい!「桃太郎は盗人なのか? −「桃太郎」から考える鬼の正体−」調べる学習部門 小学生の部(高学年) 2018年(第22回)文部科学大臣賞。

こんにちは、本が大好きなYomocaよもかです。

桃太郎伝説といえば、岡山県岡山市、愛知県犬山市、香川県高松市と山梨県大月市に伝わる伝説があるが、絵本や物語になった桃太郎も、実に多彩なバリエーションがあったりします。

本を読むことの楽しさはいろいろあるけれど、ひとつのストーリーが時代や著者によってどのように変化していくのかを読み比べてみると、常識として知っていたはずのこととは、全く違う世界が見えてきたりする。昨日まで正義の味方だと思っていたヒーローが、見方によっては悪い盗人になったりする!という事例があったので紹介します。

まずは、

公益財団法人 図書館振興財団という図書館の利用を推進することを目的とした非営利団体があります。そこが毎年「図書館を使った調べる学習コンクール」を開催しており、単に本を読んで感想文を書くというレベルではなく、図書館の様々な本=文献を調査しながら、調べことをし問題を解決するその取り組みを募集し、賞を出しているコンクールです。

そこに応募された作品の中で、2018年(第22回)の調べる学習部門 小学生の部(高学年)で文部科学大臣賞をとった倉持よつばさん(袖ケ浦市立奈良輪小学校5年)作品のタイトルがこちら

桃太郎は盗人なのか?
−「桃太郎」から考える鬼の正体 −

え〜、桃太郎が盗人(盗賊)、暴力もふるっているから強盗???ということで、だって桃ちゃんでしょ〜。どんぶらこって流れてきた桃から生まれたから桃太郎でしょう。犬、猿、キジを家来して、鬼ヶ島に鬼退治にいって、村人から盗んでいった宝物を取り返してきたんでしょう〜。めでたしめでたしじゃないですか。っておもうよね、誰も。でも実はそうじゃないみたいなんだ。




まずは

『空からのぞいた桃太郎』 影山徹/岩崎書店

まずここからみえてくるのは、誰もが知っている桃太郎を空からみると意外な姿が見えてくる〜というモノの見方を変えてみることの大切さ。古くは福澤諭吉、芥川龍之介、池澤夏樹、高畑勲の四人が「桃太郎はおかしい!」と指摘している。

 

 

桃太郎が鬼が島に行ったのは、鬼の宝を取りに行くためだったということです。けしからぬことではないですか。宝の持ち主は鬼です。鬼の物である宝を意味もなく取りに行くとは、桃太郎は盗人ともいえる悪者です。・・・ただ欲のためにしたことで、ひれつ千万なことです。(福澤諭吉:「童蒙おしえ草 ひびのおしえ」)

おや?

桃太郎は鬼ヶ島の征伐を思い立った。思い立ったわけは、おじいさんおばあさんのように山だの川だの畑などへ仕事に出るのがいやだったせいである。桃太郎は罪のない鬼に建国以来の恐ろしさを与えた。鬼は、「あなた様にどういう無礼を致したのやら、とんと合点が参りません」と質問した。(芥川龍之介全集「桃太郎」より)

おや、おや?

一方的な征伐の話だ。鬼は最初から鬼と規定されているのであって、桃太郎一族に害をなしたわけではない。この話には侵略戦争の思想以外のものは何もない。(池澤夏樹:「母なる自然のおっぱい」より)

あれあれ〜

以下は「よもか」が追加

「桃太郎」は攻めてきたり人さらいや略奪にきたりする連中を土地の人が撃退する話ではなく、日本一の幟をかかげ、陣羽織に鉢巻という軍装をして、懲らしめに鬼ヶ島に赴くわけです。このような昔話は世界的に見ても、おそらく稀有なものではないでしょうか。しかも、日本でも「桃太郎」以外にはそんな民話・昔話はなく、伝説として『大江山の酒呑童子』の話があるだけです。どうやら桃太郎は普通の民話に出てくる庶民ではなく、酒呑童子をやっつける源頼光たちと同じ武士らしいことが分かります。船の調達だって大変でしょう。なのに、そういう特殊な「桃太郎」が、今なお日本を代表する昔話・民話になっていることは、まことに「唖然」とすべきことだと私は思います。(高畑勲『熱風』2015年2月号 特別収録)

あれあれあれ・・・・・・

ということで、いきなり雲行きが怪しくなってきました。桃太郎は侵略者?!なのかな?

ということで、よつばさんはいろいろな桃太郎の本を読み較べることになりました。まずは近くの図書館で18冊の桃太郎の本を読んで比較

さらに岐阜県図書館に桃太郎の読み比べ絵本74冊あるということで、袖ヶ浦から不岐阜県まででかけて74冊を読み比べ。

さらにさらに、江戸時代の赤本の「桃太郎」にたどりつき、国立国会図書館のデジタルコレクションをさがし、多摩図書館をさがし、入手できたのはよいけれどくずし字(にょろにょろ文字)なので読めず……こんどは袖ヶ浦郷土博物館の学芸員さんに解読をお願いし…と、すごい調査能力のよつばさん!

そこで、さらにすごいのが、よつばさんは「桃太郎の罪」を暴くことよりも、そこからみえてくる「鬼の正体」に関心をもって調べていたことがわかります。

桃太郎の本を読み較べるなかで、江戸、明治、大正、昭和、平成……そして令和と、誰もが知っているはずの昔話なのに、こんなに描き方が時代によって変わり、人によっても変わっていくことを知ることができたということです。




ということで、倉持よつばさんの調べた結果をまとめたものがこちらでみることができます。読書の面白さとして[比べて読む]というのも、けっこう大切なことかもしれませんね。

さぁ、これを機会に昔話もそのまま鵜呑みにしないで、読み較べることでその真相/深層に迫ることができる!というのも、読書の楽しみのひとつかもしれませんね。

今日もすてきな読書日和を。 Have a nice reading.


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コメント

  1. […] また、よもかデイズ Yomoca DAYSさんでも この話題を取りあげていますので、どうぞ! <引用開始>_______________ […]

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